丸野編集長がガジェット通信でUPした『衝撃！「誰も知らない精神病棟の1日」を元看護士に聞いてみた』ですが、精神病棟の様子というのは、入院した人か関係者にしかわかりません。

今回は、ガジェット通信に掲載された前回に引き続き、入院した次の日と精神科医の苦労や現場の声を、現在、不動産投資家として活躍している精神科専門院『Ｙ病院』の元看護師・正木遼子さん(仮名、40才)に聞いてみました。

【映画『精神』予告編】

■精神科医は長持ちしない

丸野（以下、丸）「次の日、朝を迎えてからはどんな感じなんですか？」

正木さん「朝7時に起床ですね。患者さんたちが起き出してきて、1日のはじまりです。男女共に、歯みがきと洗顔。男性は、番号がついている電気カミソリでヒゲを剃ったりします。その間、看護師が中のカミソリを隠したりしないように監視しています。8時からは朝食」

丸「へ～」

正木さん「登場する回数が多いメニューは、スクランブルエッグとハム、パン、牛乳です。夕食同様、冷やしてあります。それでも足りない患者さんは、残飯入れをグチャグチャとかき回して食べています」

丸「うわっ」

正木さん「そして、朝の投薬。薬の列に並んで、そのまま採血や血圧測定、治療プログラムの説明です」

丸「それからは、何があるんですか？」

正木さん「診察以外の患者さんは、自由時間です。外出はできないので、欲しいものがある人は、買い物を看護師に頼みます。食べ物は大体OKですが、人にあげたりしてはいけません。古参者の患者さんは、テレビを独占してますね」

丸「外部との接触は？」

正木さん「外部への電話に関しては、『精神保健福祉法』でちゃんと認められているので、公衆電話や携帯電話でかけられます。時間の制限もありませんし、自由ですよ、比較的。朝の診療は、ナースステーションの奥の診療室で行われます」

丸「ほほう」

正木さん「診療は、大学病院や精神科病院で3年間専門臨床を経験した精神保健医が担当します。医師と対面でのカウンセリングでは、体や心の症状、薬に関する副作用、日常生活の過ごし方とかほとんど何気ない会話です。他には、薬物治療スタート後の心電図や血液検査が行われます」

丸「先生って、ずっと精神病棟の患者さんと話していておかしくなったりしないんですか？」

正木さん「なりますよ、情緒不安定に。支離滅裂な話や変な話をずっと聞き続けていれば、長続きしません」

丸「ん？　どういうことですか？」

「直木賞受賞作の『空中ブランコ』って小説に出てきた主人公の精神科医みたいに変な人になりますしね。ですから、私のところの病院でも医師はすごく入れ替わりました」

≫≫続く

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取材・文／丸野裕行（編集長）

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