告白者／郷田博夫　39歳　ストアマネージャー（店長）

しかし会社は、予算の下方修正を認めず、利益目標は上期で未達成となったため、下期では利益確保のため人件費を削減した。社員がいない。おかげで61日間連続出勤の憂き目に。

オレは訳のわからない“俺がやらなければ！”という使命感に苛まれ、さらに苦境に立たされた。それは家庭のことだ。家に帰っても笑うことなく、子供とも触れ合う時間を作らなくなった。

[妻]

「あなた、体大丈夫？　会社側になにか抗議でもした方がいいんじゃ？」

[オレ]

「うるさい!!　おまえに何がわかる！　子供がうるさくて眠れやしない、黙らせろ!!」

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妻を虐げ、子供が泣き出せば、怒鳴る。ほとんど会話をしなくなった妻が子供を連れて度々実家に帰るようになった。その頃のオレの１日がコレだ。

《１日の流れ》

4:05 起床

4:40 出勤（ＩＮするという）

6:25 開店準備…自分以外の

従業員はバイトクルーわずか１人。

7:00 開店…常時、２人ほどでまわす

11:00 昼食／休憩…“時間帯責任者”に交替し、休憩室で弁当を食べる。

11:30 接客…ピーク時間帯を迎え、14時まで休憩すらとれない。バイトクルーへの指示、調理、接客、すべてをこなす

17:30 夕食／休憩…“時間帯責任者”が来ない場合は、客の少ない時間に前倒しにすることもある。

18:30 接客…閉店時間まで４人のバイトクルーと。

23：00 閉店…閉店作業①店内清掃（クリンリネス）②その日の売上確認③調理用機械の点検④在庫整理

12：50 帰宅（ＯＵＴ）…閉店作業に手間取った日などは帰宅時間が２時頃。

1日のフローの中、一番確保したいのは睡眠時間。伝票作業や本部への報告業務でパソコンに向かっている間にそのまま眠り込んでしまったことも多々ある。店舗にそのまま泊りこむケースも少なくない。

この時点で、残業約１１０～１３０時間程度。月の休みは２、３日だ。もちろん、有休休暇など取れる訳はない。残業手当も30時間程度しかついていなかった。

これだけ働けば、体に偏重が出てもおかしくない。トイレに入ってオレは絶叫した。

[オレ]

「ギャァァァァ～!!」

便器を伝う真っ赤なションベン。おびただしい量の血尿がついに出たのである。体は悲鳴をあげていた。

気づかぬうちにパワハラや恫喝を

Ｂ評価店長のオレは身を粉にして働いたが、フタを開ければ、店長になった途端に年収が約６３０万円（店長の４０％を占める）。これをアシスタントマネージャーと比べると差が40万円もある逆転現象が生じた。ちなみに、Ｃ評価店長の場合、アシスタントマネージャーの残業含み年収（平均５９０万円）の逆転だ。

さらに噴出したのは交通費の問題。２店舗中、１店舗は駅前の駐車場のない店。早朝出社の場合は、交通機関など動いてはいない。電車が利用できないとなると、車で出勤して、店の近くにあるタイムズに駐車するしかないのだ。だが、その駐車代を会社が交通費として支払ってくれない。

何度となく、経理に請求してみたが、突っぱねられるか、うやむやにされるだけで埒が明かない。ストレスが溜まりに溜まり、自分で何をやっているのかわからなくなる。長年染みついた業務が勝手にカラダを動かしているようだ。

≫≫続く

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文／丸野裕行（編集長

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