蒼井めぐる　大阪府

26才　無職

全国各地で少し特殊な落書きが眼につくようになった。それが“タグ(タギング)”だ。短時間でどこにでも書け、大阪のアメリカ村、東京池袋では、テレビで取り上げられるほどおびただしい数のタグに覆いつくされている。

シャッター、外壁、電柱、街灯、８階建てのビルの屋上に設置された宣伝用のボーリングピンにいたるまで…。

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■タグのはじまり

タグは元々アメリカのストリートギャングの中で縄張り争いのために描いていたものが始まりだ。さて、タグにはある“暗号”が含まれている。それはかなり危険。

防犯の専門家からは「イタチごっこでも、消さなければ重大な犯罪の温床になる」と警告の声もあがっている。

何を隠そう、このオレはそのタギングを利用して、民家や商店に泥棒に入っていた。

では、タギングとはどのような暗号なのか。その読み方や利用法を踏まえながら、暗号を読み間違ってひどい目に遭った、最悪なオレの泥棒家業の顛末を聞いていただきたい。

■訪問販売員や窃盗団の情報源

オレがタギングの存在や読み方を知ったのは、定職にも就かず、カツアゲと女の家に転がり込んでなんとかしのいでいた２年前。

行きつけのクラブで、不良外国人と親しくなったことでそれを知った。

「その“マーキング(暗号)”言うのは、そんなに簡単に解読できるんかい？」

「アア、ソダネ。例エバ…」

【ＲＡＭ】のタグ…ＡＭ(午前中)Ｒ(留守中)

【ＮＲ】…ノーリターン(帰ってこない)

【Ｒ10-18】…10時から18時まで留守

【18×】…18日は不在

【Ｓ(Ｃの場合もある)Ｍ】…シングル(一人暮らし)のマン(男)

【ＰＵＳＨ】…押せば買う家

などなど。

それが、街中のいたるところの住宅や店舗の壁やシャッター、郵便受けに描かれているという。

≫≫続く

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取材・文／高木良太（ライター）

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