しかし時間がかかりすぎるし、肉体的な負担が大きい。２度ほど凍死しそうな寒さに襲われたことがある。

そこで何か名案はないものか、と街をブラついていると、街の外れに広い空き地があった。ここは……。

【住宅も店舗マツエクサロンに大変身のビフォーアフター施工事例　大阪府堺市】

そこは地元では有名な車のタダ止めスポットで、街に繰り出すのにも歩くには苦にならない距離だ。

誰が所有者だか誰もわからない。若い連中が立ち入り禁止の囲いを潰して、ほったらかしになっていた。

１台が止めはじめると、県外ナンバーの新顔まで当然のように止めていく。『ブロークンウィンドウ理論』か。

ひらめいたオレは、ペンキで《駐車禁止罰金５万円》と書いた小さな看板を製作して、一見しただけではわかりにくい場所に勝手に立てかけた。

見た目でしょぼい車と弱そうな奴に片っ端から声をかけよう。

早速、やってきた家族連れの40がらみのリーマンオヤジ。車を降りて、これから食事のようだ。よっしゃ、手始めにいったろうか！

「おい、おっさん。ここは私有地や。ウチが管理させてもらってるんやけどな。おまえ、しょっちゅう止めてるんやろ！　あの看板みえへんのかい！」

「いえ、あの…、あの…」

「罰金が書いてあるやろ！　払わんかい！」

「５万円てぇ…。すぐにのけますから堪忍してください」

「アカン！　おまえは駐車したんや！　出るとこ出て、民事で争おうか！」

「イヤッ！　すんません！　今、４万しかないんです」

「しゃーないなあ。じゃ、それでええわ！」

リマーンの財布から金を毟り取り、オレは次の獲物を待った。以前の車待ちとは違い、昼でも営業者が引っきりなしにやってくる。

大きな会社が狙い目だ。連中は、厳しくなった駐禁をなんとか逃れようと、ここに車を止めまくる。しかも、タダで、だ。

「ナンバーを控えて、会社に払ってもらう」

と脅すとＡＴＭにむかうほどで、かなりの効果がある。

午前９時から午後５時まで、夜は車が多すぎて捌けない。土日の朝は狙い目。

酒が残っている奴もいる。そこが向こうの泣き所だ。若けりゃ値切りもＯＫ。４日間で、８８万になった。やめられへん。

これで、今まで作った借金をチャラにできる。笑いが止まらへんとはこのことやった。

≫≫続く

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文／丸野裕行（編集長）

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