コンビニ弁当や外食で過食を繰り返し、仮眠を取る店舗で、毎日ボトル１本のウイスキーを開けるまで飲み続ける。大体、次の日は二日酔いで、朝の業務にあたった。こんなことをしていれば、もちろん、店の中の雰囲気も悪くなって当たり前だ。

年功序列型の給与査定がアルバイトから幹部にもなれると尻を叩く“成果主義”に変わってから。店舗の売り上げの予算達成、利益の予算確保、店舗の運営状態で評価される仕組みになった。

店長は4段階評価され、これに基づき賃金処遇が定まる。最上位のＳ評価 店長の場合は、年収780万円～。Ｃ評価店長は約580万円（店長の約10％がこれにあたる）。サービス残業という言葉が常用化したのもこの頃だ。

【大川商事　ビフォーアフターシリーズ動画①堺市中区福田1】

[上司]

「人件費削減で、Z店とY店の2店舗をキミに看てもらうから」

[オレ]

「兼務ですか……。削減って、どのくらい？」

[上司]

「だから、それを今から決めるんじゃないか」

[オレ]

「は、はぁ……」

Mでは、毎年の店長とエリアマネージャーが話し合い、店舗ごとの業績目標を設定する。この目標はコミットメントで、一度決まると天変地異でも起こらない限り、下げることはできない。オレは、会社が課したキツいノルマを渋々受入れた。

■残業110時間超で血尿が……

ちょうどこの時期には、作りたてを提供するための『メイドF』というシステムが全店に導入され、そのトレーニングの時間も必要になった。

この頃から、その指導を行うオレやクルーの休みがなくなった。クルーの時給は安く、バイトが集まらない、クーポン、ディスカウント戦略によりセールスは低いが忙しい。

店舗には、午前や午後に振り分けられる複数の“スウィングマネージャー”（SWMGR＝時間帯責任者、業務管理ができるアルバイトクルー）が存在する。

彼らは、オレの業務をフォローしてくれるありがたい人材だが、本部の経営方針が変わったことへの不満が募り、退職者が増えた。

過酷を極めるようになった業務フロー。そして、この後、近くにまた同じMの店舗ができるという絶望的な出来事が起こる。

あ、ありえねぇ～……。自分の店舗から１キロ圏内の目と鼻の先に、新生Mが誕生したのだから、たまったものではない。

予想通り、前年比での売り上げ目標など達成できるはずもなく、コストアップになるバイトクルー増員ができない状態になった。

≫≫続く

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文／丸野裕行（編集長）

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