最終回はヘッドハンターの彼女を襲った悲劇について、綴っていきたいと思います。不動産業界などでもある手口らしいので、みなさん気をつけて！

■一家離散した男に殺されかける

その他には、ママと一緒にウチの会社にクレームをつけてきたマザコン設計技師やクビになった理由が自分の不細工な顔のせいだと思って整形しまくったマイケル・ジャクソン不動産会社社員、会社の前で放尿していったダメ弁護士など、やはり狂った人ばかりです。

【室内新築物件のような一戸建て賃貸　堺市中区深井北町　駐車場付】

一番恐ろしかったのは、どう考えても人生すべてにツキのない、しがない営業マン・幸田(39歳、仮名)。

子供６人、年老いた両親、病気がちの妻を抱えた幸田をカットするのは、気が引けたが、仕事だから仕方ない。

「ホントに、今の収入の５割増しになるんですか？」

「はい。当然です、幸田様の仕事量と質なら、そのくらい収入を得てもバチは当たりません」

「ウチはもう借金で首が回らない!!　現状を打開するには、転職しか…ぜひ、よろしくお願いします!!」

それから妻が罹った難病の手術費用を稼ぐ夢を語った幸田を新しい会社に送り出しました。恐らく、一家離散、破滅でしょう。4ヵ月後。幸田のことなど忘れ去っていた頃に、猛スピードのカローラに何度かつけ狙われるようになった。それも決まって会社帰り。

【ブオブオロロロォォォ～!!】

人気のない道で振り向けば、またカローラ。猛スピードで私目掛けて突進してきます。あ、危ない!!　私は取り乱しながら、命辛々歩道から車道へ飛びました。

【ドドォォォォ～ン!!】

ガードレールのない歩道に突っ込んだカローラが、電柱に激突。ぺったんこにひしゃげたボンネットから煙が噴出し、運転席から幸田が血だらけで這い出してきました。

「おぉぉ、オレの人生を…返せぇぇ…。お前を一生許さん…」

カッと見開かれた血まみれの目。私は震え上がりました。今でもあの目が夢の中に出てきます。今、幸田がどうしているかはわかりません。

■

話しひとつで、相手の人生を昇華させ、消し去ってしまうヘッドハンター。取材中の彼女の微笑みに吸い込まれそうになった。しかし、読者の皆さん、うまい話と美女には気をつけて……。（完）

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取材・文／新島洋子（ライター）

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