次の日に病院に行くと「今はとても治療ができる状態じゃない。日薬、といいますよね、来院もお辛いでしょうし。２週間後、来てください」。

このことが後々問題になるとはこのときのオレには知る由もなかった。

警察で事情聴取。暴行犯はケータイカメラで車のナンバーを押さえられたことに観念して、出頭していた。

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犯人は京都市山科区にある『N工務店』のドラ息子・Nアキノリ（25歳）。オレの自宅のすぐ近所にある会社だ。

しかも以前にも傷害事件を起こしたことがあるらしく、刑事も呆れていた。相手側の親は、留置場にぶち込まれた息子を助けるため、早期示談に持ち込みたいと言ってきているらしい。しかし体に激痛が走り、身動きが取れず、とても会える状態ではない。

だが、補償のないライター稼業、ここまでは生活ができない。オレは旧友で取材のネタ元にもなっているＧさんにこの一件の代理人を頼んだ。

行政書士試験を受験している彼なら、こういったことに素人よりは詳しい。親と連絡を取り、近くのファミレスで初顔合わせすることになった…。

姉が亡くなった可哀想な子なんです…

席で対峙するは、土建屋の経営者らしくない、やせっぽちのオヤジ。隣には化粧の濃い母親が座った。

[Gさん]

「ちょっと、これは息子さん、やりすぎなんやないですか？」

Ｇさんが怒りを押し殺し、言う。

[父親]

「す…、すいません…」

[Gさん]

「なんか、以前にも同じような事件を起こしてたようやないですか？」

[父親]

「は、はい…」

肩を落とす父親の隣で、母親がとっぴおしもないことを言いはじめた。

[母親]

「あの子の昔からの素行は、幼いときに姉が亡くなったことのショックからやと思うんです。可哀想な子なんですよ…」

はぁ？　何の関係があるんや！

[オレ]

「そんなことで殴られるこっちの身になったことあるんですか!!」

オレは思わず声を荒げた。息子も息子なら、親も親や！

[Gさん]

「元町くんは、こんな状態でホントに大変なんです。とにかく当座の生活費と物損分、嵩む病院代の計算して提示しますから…。とにかく、ワケのわからんことは言わんといてください！」

被害状況と賠償責任を小１時間話し、Ｇさんがオレを支え席を立った。

逆ギレ弁護士登場でこじれる示談

金額を算出し、後日２回目の話し合い。ジャケットや靴、ジーンズ、靴、サングラス、バッグなどはＧさんの見解では半値でしか請求はムリなようだ。それに故障した使用年数が経ったスポーツロレックスも半値ほど。

休業補償はフリーライターギャラの多くが証明困難（謝礼などの非課税仕事などが多い）なために、年齢別平均給与額を提示。近い将来にギャラに影響が出るため、減額補償額と慰謝料請求も雛形にした。

≫≫続く

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取材・文／山田裕

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