今回も、筆者自身が目にした自転車窃盗の手口をお話したいと思います。狙われているのは、高級自転車だけではなく、あなたが“生活の足”として使っている普通の自転車です！

■平然と会釈する窃盗犯

マンション住人が駐輪場へやってきたとき、どうやりすごすのかと思いきや、当たり前のように会釈したのです。

平然と朝の挨拶。マンション住人は別段怪しがることもなく、自転車に跨って駐輪場を去ってしまいました。

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そして、長年このマンションに住む中年女性がやってきて、「これは一体なに？」と話しかけていましたが、言葉を交わしてまた踵を返し、マンションへ戻っていきました。

事件が起こった後日、その女性に話を聞くと「マンション側の大家から依頼があって、いらない自転車を回収しにきたんです」と騙っていたようです。

肉体労働者風が駐輪場の入り口の自転車を集結させたところにトラックをつけます。

その後、積み込み作業。《物色→自転車を入り口へ→積み込み→トラックが走り去る》まで、その間約5分。数日前より、駐輪場に置かれた自転車を入念に下見していたものと思われますね。

もちろ監視カメラにその様子が映っていて、管理をしていた不動産業者は、犯人の逮捕につながるように警察署に画像を提出したそうです。最近のカメラの性能がよく、顔も映っていたので、逮捕までそう時間はかかりませんでした。

■多くの自転車を積めるようにカゴは外す

日本製の自転車というのは、性能がかなり高く、海外での人気が絶大なのです。

あなたの盗まれた自転車は、窃盗専門業者を通じ、防犯効果の低い簡易鍵を取り外し、車体の番号を削り取られて、ちょっとでも多く自転車が積見込めるように、買い物カゴを外して、コンテナに載って海外へ向け、海を渡ります。

部品目当ての高級自転車とは違い、あなたの自転車はタイヤやベル、ハンドル、サドルなどを解体することもなく、早速実走することができる家庭用自転車として取引されるわけです。

最近では、放置自転車を簡単に再生する法人なども急増。あなたにはこの意味、わかりますか？

安全ではなくなった日本で、あなたの自転車を守るためには、ママチャリであったとしても駐輪場の柱などに頑丈なチェーンなどで固定したり、より安全な屋内に収納するなどの防衛策を施す必要があるでしょう。（完）

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取材・文／丸野裕行（編集長）

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