■留置所スケジュール

ちなみに留置所の1日のスケジュールはコレである……

7:00　起床…看守の声が目覚し時計

7:05　布団出し…外の押入れに収納

7:07　掃除・洗面

7:20　朝食

8:30　運動…喫煙タイム・剃髭含む

9:30　本の貸し出し…1日3冊まで。

12:00　昼食…ＦＭラジオが流れ、冷めて油を吸った揚げ物が多い。

18:00　夕食…昼と同じような弁当。自弁（自分で出前を取れる制度）を注文できる。

19:00　布団入れ、洗面

21:00　消灯

【日置荘西町　LDK12帖の対面式キッチン　ペット暮せる一軒家賃貸駐車スペース有 #3LDK #堺井東区】

なお突然の逮捕の場合には、着替えやタオル、歯ブラシ、髭剃りなどは貸し出されるので心配はいらない。この生活、規則正しいといえば聞こえはいいが檻の中で不安と戦いながらじっとしているのは、かなりツライ。やることがないので、苦痛の時間がやたらと長いのだ。

外の世界で過ごす1時間が、こちらにとっては3時間相当。シバさんは取り調べもなく、昨日はまったく檻から出ていないという。嗚呼、どうなることやら…。

■懲役太郎と同房

留置所内のインターフォンがけたたましくなると、誰かの呼び出しだ。昨日ぶち込まれて、朝一番9時の呼び出しはオレだった。取調べは不安だが、不思議と中に入っているよりも気持ちが軽い。

ワンセットである身体検査と金属探知機、それから手錠、腰紐姿でオレは迎えに来た刑事の下へ…。憶えてもいない事件の詳細を供述調書にされ、指紋採取してから昼前の午前11時に再び檻へ戻された。

帰ると、なんと房内にメンバーが1人増えている。松重豊のような小難しそうな顔つきの大男は、こちらに会釈してきた。

古田「古田や！　よろしゅうに」

地獄の使いのような声がそう言うか言わずかで、所内に罵声が響いた。

男の声「古田ぁ、オマエ、シャバで会うたら、ぶっ殺したるからなぁ～!!」

古田「じゃかぁしぃんじゃ、ボケ!!」

お、お、穏やかじゃない…、ど、ど、どないしたんやぁ??

古田「アイツは、ウチとは敵対してる組のヤツでなぁ！　こんなところで同じ時期に入るとは思わなんだ!!」

ああ、そうですか…。古田の出現で、隣に“引越しオバサン”が越してきたくらい檻に住みにくくなり、早く出たいという思いだけが募る。

■恐ろしい仕返し

古田「おい、アンタ素人さんかい？」

オレ「は、は、はい…」

古田「ワシは彫師や。１人殺ってるんやけどぜんぜん恐ないし、仲良くしたってな！　オレ、人懐っこいし！」

そう言われても…。舌の根も乾かないうちに、古田さんとシバさんがヤバい話をはじめた。

古田「ここにいた、看守の鎌田っていうヤツ。もうおらんのやなぁ～」

柴田「そいつが何でんのん？」

古田「若い看守で、クソえらそうなヤツやったんや。そんでな、オレが出てから、鎌田の嫁さん探して攫うたったんや。ずっと狙っとってなぁ！」

柴田「ほう、ほんで？」

古田「それがな…どうなったと思う？　その嫁さん…」

その奥さんが遭った目とはオレの想像を超えるくらい恐ろしいものだった…。

≫≫続く

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文／丸野裕行

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